腹爪(アンダープレート)とは?体の内側から爪の水分量を高めて爪の柔軟性をキープしよう

爪の三層構造の解説断面図(腹爪)

インターネットでは、美容に関するネイルケアの情報は良く目にしますが、爪の機能に着目して爪の基礎知識や専門的な視点を教えてくれるところは、なかなかありません。

tsumeplusでは、スポーツと健康の爪ケア専門サロンとして、爪の機能と役割を中心に爪の構造や特徴を解説していきます。

今回は、「腹爪(ふくそう)」の特徴を知って、日常のネイルケアに役立てましょう。

監修者・執筆者

腹爪(ふくそう)= アンダープレートとは?

腹爪は「ふくそう」と読み、三層構造から成っている爪の最下層の部位で、皮膚と爪が密着している層です。

英語では「under plate:アンダープレート」と言います。

腹爪の特徴と解説

腹爪の特徴をまとめました。

爪の三層構造を構成する残りの「背爪」「中爪」と比較ができるようにしたので、下の表をご覧ください。

爪の三層構造の特徴比較表

名称繊維方向硬さ厚さ
背爪(トッププレート)硬い薄い
中爪(ミドルプレート)柔らかい厚い
腹爪(アンダープレート)柔らかい薄い
爪の三層構造の比較表
爪の三層構造の解説断面図(背爪・中爪・腹爪)
爪の三層構造の繊維方向

腹爪(アンダープレート)の特徴は、爪床(皮膚)と密着している柔らかい層で、厚さは背爪(トッププレート)と中爪(ミドルプレート)の間くらいの比較的薄い層です。

軟ケラチンの繊維方向は、縦方向に走っています。

写真の①が背爪(トッププレート)、②が中爪(ミドルプレート)、③が腹爪(アンダープレート)です。


マイクロスコープで見た男女の爪の断面

画像出典:パラジェル オフィシャルブログ「爪のトッププレートの役割」

腹爪は爪先で急に乾燥に晒される

腹爪(アンダープレート)は爪床と密着していて、絶えず爪床から水分を供給してもらう接点となっています。

そのため、三層構造から成っている背爪(トッププレート)と中爪(ミドルプレート)と比べ、爪の構造上、比較的水分を多く含んでいる層です。

しかし、爪先まで達すると、今まで爪床と密着していた腹爪は、外気に触れることになり乾燥に晒されます。

また柔らかい層であるため、水分の吸収と蒸散が早く、湿潤と乾燥が繰り返されやすい層でもあります。

そのため、巻き爪を予防するには、腹爪の水分管理に注意することが大切となります。

腹爪のネイルケア

それでは、腹爪(アンダープレート)をネイルケアの観点から見ると、どのようなことをすれば良いのでしょうか?

腹爪のネイルケアでおすすめしたいことは、次の2つです。

腹爪のおすすめネイルケア

  1. 体内の水分に意識を向ける
  2. 爪下皮と一緒に腹爪を保湿する

①体内の水分に意識を向ける

この爪コラムでも、爪には保湿が重要と繰り返し伝えていますが、爪床と密着している腹爪は、ネイルケアで外からアプローチすることはなかなか難しいものです。

それでは爪の構造上、腹爪をケアすることはできないのでしょうか?

ここで注目したいポイントは、腹爪は爪の蒸散作用により、爪床から水分を受け取っているということ。

つまり、爪に適切な水分を与えるためには、体の水分量に意識を向けて体の内側からアプローチする方法があります。

人の体は加齢とともに水分量が下がっていきますが、環境省が発表している「熱中症環境保健マニュアル 2022」には体の水分量について、次のように説明されています。

人間の身体に含まれる水分量は、およそ体重の50~80%で加齢とともに少なくなります。成人男性は60%で、けっしょう血漿に5%、間質(組織)に15%および細胞内に40%分布しています。からだの中の水のはたらきは、体温調節(熱の運搬、蒸発による放熱)と栄養素や老廃物の運搬および内部環境を維持(体液の濃度、浸透圧の調整)することで、生命の維持に大変重要です。(中略)食事と飲み水および代謝水(体内で作られる水)で摂取され、尿、便、汗、そして呼気等から排泄されます。

体重あたりの水分量

熱中症環境保健マニュアル 2022(環境省)P34
守尾一昭:「脱水症の病態、病型:高齢者に特徴的な病態、 病型はあるか?」, 『Geriatric Medicine(老年医学)』2008 vol.46.

加齢とともに体重あたりの水分量はどんどん減っていきますが、その分意識して水分補給をすると爪にも良いと言えます。

では、どのくらいの水分を摂れば良いかについては、同じ環境省の「熱中症環境保健マニュアル 2022」にはこのように書いてあります。

穏やかな環境で普通の生活をしている場合、 1日当たりの摂取量と排泄量は体重が70㎏の人では2.5リットルとされています。運動等で大量 に汗をかいた時には、発汗量に見合う水分・塩分を補給することが必要になります。

熱中症環境保健マニュアル 2022(環境省)P34
守尾一昭:「脱水症の病態、病型:高齢者に特徴的な病態、 病型はあるか?」, 『Geriatric Medicine(老年医学)』2008 vol.46.

特に夏季は熱中症対策が必要です。

しっかりと水分と塩分の補給を意識して行って、内側から身体のケアをしていきましょう。

②爪下皮と一緒に腹爪を保湿する

では、水分摂取をすれば爪の保湿はしなくていいのか?というと、そういうわけではありません。

上図の「体重あたりの水分量」から分かる通り、加齢とともに水分が失われるのは爪も同じです。

しかし、年齢に応じた水分量を大幅に超えて、体内水分量を増やすことはできません。

そのため、加齢に応じて失った水分は、外から補って入れてあげることが大切です。

腹爪を保湿することは難しいですが、おすすめは腹爪と接している爪下皮と一緒に保湿することです。

爪の裏側で、爪下皮がある腹爪と皮膚の境目を保湿することは、大きい爪床を育成する上での必須ケアになります。

爪下皮を保湿することで、腹爪も一緒に保湿されます。

しかも腹爪は軟ケラチンの繊維の方向が縦方向ですので、繊維に沿って爪の内部へも伝わっていきます。

腹爪のまとめ

腹爪は、爪床と密着している柔らかい層で、水分の吸収と蒸散が早く、湿潤と乾燥が繰り返されやすい性質があります。

このように見ていると、とても水分と関係が深い爪の部位であることが分かると思います。

巻き爪の予防、また爪の水分保持による衝撃吸収性の維持など、腹爪は爪を縁の下から支える影の立役者と言っても良いのではないでしょうか。

爪のケアは外側からだけではありません。

腹爪のネイルケアを考えることで、体の内側からのネイルケアをぜひ実践していただくことをおすすめします。

爪の構造と各部位の名称・役割一覧

※順次、各部位の詳細ページを公開しています。

※これらの呼び方は、書物によって異なる場合があります。

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爪は保湿することで、強い爪圧に耐えられるスポーツに適した爪が育ちます。

それだけでなく、爪自体にうるおいがあると爪の柔軟性が保たれるので、衝撃がかかっても爪がしなってくれて割れにくくい爪になります。

毎日寝る前に1回からでも爪の保湿をルーティーンにして、理想のプレーを叶えよう!

エミュケア 肌爪オイル
EMUCARE SKIN NAIL OIL

¥2,970

監修者・執筆者

大塚裕司
大塚裕司株式会社tsumeplus 代表取締役
マラソンで自身の膝トラブルの原因が爪にあることに気付き、爪に深い興味を抱く。
その後、3万の爪をケアしてきたネイルサロンオーナーを経て「爪と身体の関係」を研究。TOKYO2020オリンピックパラリンピック選手村でネイルケアを提供する。「爪と運動力学」を視点に独自の分析理論を持ち、国立大学と共同研究、元日本代表選手のサポート、メディアや講演等に出演し爪の重要性を啓発する。

・アスリートネイル協会 認定アドバイザー
・アスリートネイル協会 認定ネイルトレーナー
・爪切り指導士
・熱中症対策アドバイザー

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