甘皮(キューティクル)とは?アスリートがセルフケアで甘皮ケアをおすすめしない理由
インターネットでは、美容に関するネイルケアの情報は良く目にしますが、爪の機能に着目して爪の基礎知識や専門的な視点を教えてくれるところは、なかなかありません。
tsumeplusでは、スポーツと健康の爪ケア専門サロンとして、爪の機能と役割を中心に爪の構造や特徴を解説していきます。
今回は、「甘皮(あまかわ)/爪上皮(そうじょうひ)」の特徴を知って、日常のネイルケアに役立てましょう。
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甘皮(あまかわ)= キューティクルとは?
甘皮は「あまかわ」と読み、後爪郭の皮膚からできて爪甲の表面に密着して伸びてくる爪の根元の薄い角質層の名称です。
甘皮は他の呼び方があり、爪上皮(そうじょうひ)とも言う。
また、英語では「cuticle:キューティクル」や「eponychium:エポニキウム」と言われます。
甘皮の特徴と解説
甘皮は、厚さが約0.5〜1mm程度の非常に薄い皮です。
しかし、甘皮には健康な爪を守る大切なポイントがあります。
甘皮が健康的な爪に欠かせない理由
- 異物や細菌が体内に侵入するのを防ぐ
- 爪の均一な厚さを保つ
①異物や細菌が体内に侵入するのを防ぐ
甘皮の役割は、新しく生えてくる爪や後爪郭を保護し、異物や細菌が体内への侵入するのを防ぐ働きがあります。
爪甲と後爪郭の間が開いているとそこから容易に細菌が入ってくるため、後爪郭より生じた甘皮が爪甲に貼り付くことで、侵入経路となる入り口を塞いでいるのです。
おしゃれを目的としたネイルでは、「甘皮を取ると爪がひと回り大きく見える」と言われますが、実は甘皮には2種類あります。
- 甘皮(キューティクル)
- 爪上皮角質(ルースキューティクル)
ネイルサロンなどでプロのネイリストが除去するのは、基本的にはルースキューティクルの方です。
詳しくは、この後にお伝えする「甘皮のネイルケア」で紹介します。
ですので、甘皮と爪上皮角質の違いを知らずにセルフケアで「甘皮が見えるなら全部取ってしまおう」と考えるのは、やってしまいがちな誤りなので注意が必要です。
②爪を均一な厚さを保つ
甘皮のもう一つの役割は、爪の厚さを均一に保つことです。
この役割は、後爪郭にもありましたが、後爪郭から生じる甘皮は後爪郭と一体となっても爪の厚さに関わっていると言えます。
▶︎ 関連記事「後爪郭(ネイルフォルド)とは?乾燥と噛み爪が大敵。爪が凸凹にならないための後爪郭ケア」
爪は爪母でつくられ、後爪郭および甘皮の下を通って伸びてきます。
つまり、後爪郭と甘皮が爪に覆いかぶさることで爪をプレスしているわけです。
そのため、後爪郭と甘皮を適切にケアをすることで、伸びてくる爪の厚さが若干変えることができ、プレスされる力が弱ければ厚い爪に、プレスされる力が強ければ薄い爪になるイメージです。
甘皮は後爪郭に比べると、非常に薄いので爪の厚さへの影響は、後爪郭の方が大きいとお考えください。
甘皮のネイルケア
これまで甘皮の役割と特徴を見てきましたが、甘皮は健全な爪の成長に欠かせないことが分かりました。
それでは、甘皮はどのようにケアするのが良いのでしょうか?
甘皮のケアのポイント
- ルースキューティクルと見極める
- 甘皮の役割を保つことを考えて、除去しすぎない
- 爪や皮膚を傷めないように注意する
- ケア後は、保湿する
①ルースキューティクルと見極める
甘皮には、甘皮(キューティクル)と爪上皮角質(ルースキューティクル)があるとお伝えしました。
その違いを簡単に言うと、基本的には爪の根元に溜まっているのが甘皮、爪甲に密着して伸びているのが爪上皮角質(ルースキューティクル)です。
また、指先や爪の乾燥が見られる場合や爪のケアが1〜2ヶ月以上空いてしまった場合には、爪の根元に溜まった甘皮が白い線になって見えることがあります。一方、ルースキューティクルは目にはほとんど見えません。
甘皮のケアに入る前には、爪甲の乾燥具合をよく観察して、甘皮(キューティクル)と爪上皮角質(ルースキューティクル)の状態を推測し、どこまで除去するかを見極めましょう。
②甘皮の役割を保つことを考えて、除去しすぎない
基本的にルースキューティクルは除去しても問題ありませんが、甘皮は除去しすぎると、異物や細菌が体内に侵入する入り口を作ってしまうことになります。
細菌が侵入すると、後爪郭が炎症を起こし(爪周囲炎)後爪郭がめくれ上がってしまうことがあります。
そうなると後爪郭がめくれ上がった場所は、爪がプレスされずに伸びてくるので爪甲が均一な厚さをもって伸びてこなくなります。
爪の根元であればまだ大きな影響はありませんが、この厚さがブレた爪がストレスポイントを超えて爪先に至ってくると、爪が比較的薄い部分がウィークポイントになり衝撃などの外力に耐えきれず、爪が割れることにつながります。
厚さのブレがあると、爪の表面を爪やすりで削ってならしたくなりますが、三層構造の一番上にある背爪(トッププレート)はとても薄く、少し削ると柔らかい中爪(ミドルプレート)が露出するのでおすすめしません。
▶︎ 関連記事「背爪(トッププレート)とは?背爪が育つとスポーツに強い爪ができるワケ」
③爪や皮膚を傷めないように注意する
甘皮を除去するときは、薄いシールを剥がすよう時のように爪の表面を擦りますが、ここで一番大切なのは力加減です。
なかなか甘皮(キューティクル)や爪上皮角質(ルースキューティクル)が取れてこないなぁと何度も擦っていると、背爪(トッププレート)を削ってしまうと爪を傷めてしまいます。
特にメタル製のプッシャーを使用する時は注意をしましょう。
また、甘皮を除去する時にはキューティクルリムーバー(角質軟化剤)を使いますが、甘皮を除去している時は、絶えず爪の表面を濡らした状態で甘皮ケアを行い、乾燥と擦れで傷つかないように爪表面を守りましょう。
④ケア後は、保湿する
甘皮が除去できたら、それで終わりではありません。必ず保湿を心がけましょう。
特に甘皮が強く張り付いていた方は、甘皮ケアをやった直後から3〜4日は、意識的に回数を多くして爪の保湿をすると良いでしょう。
その理由は、元々あった甘皮が急になくなると、人体の構造上、なくなった甘皮をもう一度作って体を守ろうとします。
何から守るのかというと、乾燥や擦れによって皮膚が荒れてしまうことです。
保湿をすることは、そういった乾燥や擦れから皮膚のコンディションを守ることになり、ひいてはまた甘皮が強く張り付くことを抑制することにもつながるので、甘皮ケアを適切に繰り返すことで指先のコンディションが徐々に良くなっていきます。
甘皮のまとめ
いかがでしたでしょうか?
甘皮は、異物や細菌が体内に侵入するのを防ぎ、爪の均一な厚さを保つ役割がありました。
その役割や働きを損なわないようにケアすることが、爪の機能をキープすることに非常に重要です。
甘皮は爪の中でもデリケートな部位ですので、爪の機能をしっかりと求めるならアスリートがセルフケアすることはおすすめしません。
アスリートがセルフケアで甘皮ケアをおすすめしない理由
- 指先のコンディショニングには、甘皮の役割をしっかり把握したプロのケアが欠かせない
- 甘皮周辺にある爪母や爪半月をセルフケアで傷めてしまうと、パフォーマンスに影響する
ネットやSNSでは甘皮ケアのやり方をアップされている動画がありますが、そのほとんどは爪がキレイに見えるための甘皮ケアのセルフケアの方法です。
健康的な爪をつくる、またスポーツパフォーマンスを発揮するための爪の機能を働かせる甘皮ケアとは、まったく発想が違った内容になります。
甘皮ケアは、指先や爪のコンディショニングに欠かせませんが、専門的な知識と技術がないとスポーツ特有の繊細な指先感覚が得られにくくなってしまうので注意しましょう。
大切な試合に向けて計画的に爪を育てていくためにも、アスリートの爪のコンディショニングはぜひネイルトレーナーにご相談ください。
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監修者・執筆者
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マラソンで自身の膝トラブルの原因が爪にあることに気付き、爪に深い興味を抱く。
その後、3万の爪をケアしてきたネイルサロンオーナーを経て「爪と身体の関係」を研究。TOKYO2020オリンピックパラリンピック選手村でネイルケアを提供する。「爪と運動力学」を視点に独自の分析理論を持ち、国立大学と共同研究、元日本代表選手のサポート、メディアや講演等に出演し爪の重要性を啓発する。
・アスリートネイル協会 認定アドバイザー
・アスリートネイル協会 認定ネイルトレーナー
・爪切り指導士
・熱中症対策アドバイザー
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